ジェネリックの秘密
「ジェネリックを使ってみませんか?」「飲み残したお薬はありませんか?」
このところ、調剤薬局で薬剤師からこのような言葉を掛けられることありませんか?
薬剤師が熱心に声掛けをするのは訳がある。実は、医療費の改定で、ジェネリックの情報を患者に伝えたり、飲み残した薬を確認したりすることが調剤薬局の報酬に影響を与えるのです。
「ジェネリック(generic)」は、英語で「一般的な」とか「総称的な」という意味で、医薬品の世界では特許期間が終了した新薬と同じ有効成分で作られた後発品のことを指す。メーカー独自の商品名ではなく、その薬のもとになる有効成分の一般名で処方されるので、ジェネリック医薬品と呼ばれる。
●医療機関の誘導
以前はジェネリックの処方によって、診療報酬改定で、ジェネリックを処方すると医療機関に2点(20円)の加算がつけられ、ジェネリック使用促進の誘導が行われた。
しかし、この時は加算がつくのが後発医薬品に限定する内容で抵抗を示す医療機関も多かったため、ジェネリックの普及拡大にはつながらず、2008年にこの加算は廃止された。
現在では、有効成分が同じならジェネリックに限らず、先発薬でも患者が薬剤師と相談しながら決めてよいという「一般名処方」を導入し、処方せん1枚につき2点を加算するように変更された。
同時に、医師が出す薬を記入する処方せんの様式も見直された。これまでは、医師が署名すると、そこに書かれた薬はすべてジェネリックに変更できなかったが、現在はジェネリックに変更できない医薬品だけ印をつけて、それ以外のものは変更することが可能になった。
●調剤薬局の誘導
調剤薬局では、「後発医薬品調剤体制加算」「薬剤服用歴管理指導料」のふたつ。ジェネリックを積極的に取り入れている薬局には手厚い報酬を出すが、やる気のない薬局には報酬を回さないというメリハリのある改定内容になっている。
後発医薬品調剤体制加算は、直近3ヵ月間にその薬局が出した薬のうち、後発医薬品の割合に応じた報酬の上乗せが受けられるというもの。これまでは、20%以上が6点、25%以上が13点、30%以上が17点だったが、今年からは22%以上が5点、30%以上が15点、35%以上が19点に変更され、ジェネリックの取り扱いが多いほどインセンティブが高くなるようにした。
薬剤師がジェネリックを進める理由はここにあります。
さらに厳しくなったのが「薬剤服用歴管理指導料」の加算要件だ。これまでは、薬の用量、効果、副作用などの情報を患者に文書で知らせ、服薬の指導をすれば指導料が30点(300円)は加算できた。しかし、現在は、これに「おくすり手帳への記入」「ジェネリック医薬品の情報提供」「飲み残しの薬の確認」が算定条件に加わり、処方せんの受付1回あたり41点(410円)が加算されることになった。
毎回お薬手帳お持ちですか?の理由はこれにあります。
先発品の2~7割の価格で利用できるジェネリックは、患者の自己負担を軽減できるだけではなく、健康保険財政全体の有効活用にもつながる。国民共通の財産である皆保険を守っていくためには、所得の低い人が自己負担を下げるために使えばいいというものではなく、国民みんなが取り入れていく必要があるだろう。
しかし、なんでもジェネリックにすればいいというのは少々乱暴だとも思う。ジェネリックの効果・効能は、投薬後の血中濃度の検査などで先発品と同等であることが確認されているが、添加物などの関係で溶け方や剤形が異なり、先発品と全く同じとは言い切れない面もある。品質や効果を疑問視する声もあり、それがこれまでジェネリックの普及を妨げる原因にもなっています。
ただし国の財政を考えると、このような仕組み(意識づけ)は必要なのですね。
そこで儲かるんですね?院外処方は!
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